どこ吹く風

自分には全く関係・関心がないというように、知らん顔をすること。「何処吹く風と聞き流す」

知らなかった世界

 昔から白い歯にあこがれていた。いや、別にあこがれていたわけではないが、どうして俺の歯は磨いても白くならないのだろう?と疑問に思う事は何度もあった。芸能人の歯を見ては、あれ薬品か何か使っているのだろうか?と訝しく思った。なんせ白すぎる!でも白い歯っていいな~羨ましいな~。ネットを見ていると、歯の汚れは台所で使うあの洗剤を使うと一発できれいに・・・・。とか出てくる。本当のところどうなのだろう?とこれまた疑問に思った。そんな折、ちょうど私の使っていた歯ブラシがダメになってしまった。日曜に暇だったので近くのドラッグストアへ買いに行った。ついでに歯磨き粉も買えればいい。もちろん歯が真っ白くなる奴だ。普段、私は歯磨き粉も歯ブラシも100円ショップで購入している。別にダンディーに目覚めたわけではないが、やっぱり白い歯にはあこがれる。この際だ、本当に歯磨き粉で歯は白くなるのか?それを確かめ、ついでに歯ブラシ、歯磨き粉ともに新調しよう。

 

 近くのドラッグストア(ウェルシア)に行ってみるとそこには私の知らない世界が広がっていた。まず初めに驚いたのは歯ブラシ、歯磨き粉の品数の多さだ。次に驚いたのはその価格帯の広さだ。安いものは98円から高いものは歯ブラシで3000円前後、歯磨き粉も同じくらいの価格帯だ。私は歯ブラシ自体は「まあそんなに違いはないだろう。」とトップバリューの98円の品を5個カゴに入れた。問題は歯磨き粉だ。実にいろいろな品がある。歯磨き粉の世界がこれほどまでに多種多様だったとは!と一人驚愕した。実にいろいろな用途がある。歯茎の引き締め、殺菌、抗菌、口臭を防ぐ物、それからもちろん歯の美白。私が目指すのは無論、美白だ。探してみたところ、美白用の歯磨き粉だけでも安いものから高いものまで実に多様だ。重曹を用いて、自然素材から作ったという1200円の商品に魅かれた。でも・・・ちょっと高い。他にはドイツ製の歯磨き粉、それから専用のペンで歯に薬剤を塗るタイプのもの等があった。もちろん安いものではあの有名な「白い歯っていいな♪」もあったし・・・、要するにあまりに商品がありすぎてどれがいいのか解らない。店員さんを呼んで話を聞いてみようかな?とも思ったが、いろいろとめんどくさそうなのでやめた。店員さんが詳しすぎても面倒だし、知らな過ぎてもそれはそれで面倒だ。結局、私は385円位で買える歯の美白をうたった商品を購入した。先に上げた自然派由来の重曹を用いた1200円の商品を買おうかどうしようか最後の最後まで迷った。(20分くらい)1200円も払って白くならなかったら悲しいので今回は買うのをやめた。

 

 長くなったが、この話の教訓は2つ。

 1つは本気になった時、世界は広がりを見せるという事。私はこれまで白い歯っていいなと思ったことはあったが、それはあくまで淡い憧れに過ぎなかった。そんな私にとって歯磨き粉とは100円ショップで購入するものだった。無論品数も限られている。選ぶほどの種類はない。でも本気で歯とは白くなるんだろうか?と思って自分でドラッグストアに足を踏み入れた途端、そこには数えきれないほどの歯磨き粉がそろっていた。歯磨き粉の世界はかくも広大で深淵なるものだったのだ!

 2つ目は広い世界を知るためには、情報や資金が不可欠だという事。私の前に歯磨き粉の世界はその広大さを垣間見せたが、実際にそこに飛び込むには情報や資金が圧倒的に不足していた。最終的には無難で安いものを買い求めることになってしまった。忸怩たる思いだ・・・。

 

 本当に歯が白くなり、かつ最もコストパフォーマンスの良い、それでいて健康上問題のない商品とはどれなのか?その商品を手に入れるためには情報と資金が不可欠だ。もっともそのためには「白い歯っていいな」程度の憧れではなく「絶対に歯を白くするんだ!」と言う断固たる決意が必要なのだ。つまり意志あるところに道は開けるという事か・・・。では、そもそもの意思とはどうして生まれるのか?そこには何かしらのキッカケのようなものが必要なのでは・・・?と考えていたら思い出した。そういえば先日、故あってほんのちょっとマスクを外した際にある児童に言われたのだ。「先生歯黄色いね。」そう言われたその日鏡を何度も見て思った。「いや、決してそんなに黄色くはないが・・・。かと言ってすごく白くもないしなあ~困ったなぁ~。」つまり、何が言いたいかと言うと私はその程度の事で傷つきやすい小さな小さなオッサンなのだという事(笑)。でもこの児童のおかげで初めて歯磨き粉の世界に興味を持った。何がきっかけで世界が広がるかは解らないという事だ。Mよありがとう!でもそんなに俺の歯って黄色いかなぁ?

そりゃ黄色いよりは白い方がいいよな~