どこ吹く風

自分には全く関係・関心がないというように、知らん顔をすること。「何処吹く風と聞き流す」

ドラマ(人間模様)

 今日NHKスペシャル『王者のジャンプ』を観た。興味深いシーンがあったのでここに記したい。平昌オリンピックのフィギュアスケート男子の表彰台で表彰後、優勝者の羽生結弦選手が2位の宇野昌磨選手の頭をくしゃくしゃにして撫でていた。その映像を見て、とっさに私は「上手いな、羽生選手。」と思った。どういう事か?羽生選手が意図してか無意識のうちかは解らない。だが、宇野選手の頭をくしゃくしゃに撫でる事で、羽生選手は世間に対しては宇野選手との仲の良さをアピールできる。同時に、宇野昌磨選手の意識下に「俺の方が上なんだよ。」と自分との関係性を植え付けることに成功している。今風に言えばとても上手に心理的マウントをとっている。一方の宇野選手にしてみれば「負けてたまるか!」とノンバーバルに(言外に)表現しようにも、そこには周囲の目があってできない。(羽生選手と宇野選手は仲が悪い。などと週刊誌に書かれて損をするのは宇野選手の方だろう。そこも羽生選手の上手い所だ。)よって羽生選手に頭を撫でられるがままだ。真剣勝負の世界ではこうした些細なところから、すでに次に向けた心理戦が始まっている。凄まじいものだ。まあ、見ているほうとしては面白い。などと感じている私は人が悪いのだろうか?
 そんな事を考えていたら、ふとサッカーの中田英寿選手を思い出した。「あの中田だったらこんな時どうしたろう?」中田選手が宇野選手の立場でラモス瑠偉さんあたりに頭でも撫でられようものなら、きっと「ふざけるな!俺の頭をなでるお前は何様だ!」と傲然と相手の手を振り払っていた事だろう!もっとも言葉にはしなかっただろうが・・・。かのクリスティアーノ・ロナウドだってそうだ。PKを蹴らしてくれと進み出た若干17だか19歳のロナウドが、当時のポルトガル代表キャプテンのルイス・フィーゴけんもほろろに却下され、顔を真っ赤にして怒っている映像は今でも語り草だ。中田英寿さんにしろ、クリスティアーノ・ロナウドにしろ、それだけ気概がでかいとも言えるし、傲慢だともいえる。その精神的骨格のおかげで歴史に名を残す選手たり得たのだ。特に中田英寿さんがこの日本という良くも悪くも小さな島国で、あの様なメンタリティーを培い、その才能を開花させた事には敬意を抱く。最近は文化人としてご活躍らしいが、あまりメディアには出て来ない。どうしてらっしゃるのだろう・・・?

 さて、人が集まれば嫌がおうにも其処にドラマ(人間模様)が生まれる。そのドラマを見る事は結果を知る事よりもはるかに面白い。学ぶべき点がある。同時に私も“一端の人間”?であるからには私自身が他の誰かにとってのドラマの登場人物だという事もあり得ない話ではない。なるべくなら、無害で人の好いキャラクターであって欲しい。と、望むのはいささか厚かましいというべきか?何にしても、私の周りの人たちが幸せでありますように・・・。

f:id:kirutokira:20220205162355j:plain

彼の前に道はない。何故なら彼が道を・・・